概要:ブラックハットSEOとは?
インターネットで情報を探すとき、多くの人はGoogleなどの検索エンジンを使います。検索エンジンは、ウェブサイトの内容や評判を分析して、検索結果に順位付けして表示します。
この順位付けに影響する要素は多くありますが、一般的には以下の2つが重要です。
- サイトの内部のキーワードを効率よく認識させること
- (内部対策)サイトの信頼性を高めること(外部対策)
内部対策とは、サイトのタイトルや見出し、本文などに適切なキーワードを入れて、検索エンジンにサイトの内容を理解させることです。これはSEOの必須事項であり、サイト運営者が自分で行えることです。
外部対策とは、他のサイトから自分のサイトへリンクを貼ってもらうことです。これは被リンクと呼ばれます。被リンクが多いほど、検索エンジンはそのサイトが有益で人気があると判断します。しかし、被リンクは自分でコントロールできないことが多く、難しい対策です。
そこで登場するのがブラックハットSEOという手法です。ブラックハットSEOとは、検索エンジンの評価基準やアルゴリズムを不正に利用して、自分のサイトの順位を上げようとすることです。例えば、
- 同じIPアドレスから大量のサイトを作って自作自演のリンクを貼る(IP分散)
- 使われなくなった古いドメイン(オールドドメイン)を買ってリンクを貼る
- 意味不明な文章(ワードサラダ)を作ってリンクを貼る
などがあります。これらは一時的に効果があるかもしれませんが、検索エンジンも常に精度を上げています。その結果、
- 同一IPアドレスからの複数のリンクはスパム判定される
- ドメイン名とサイト内容が食い違っていると評価が下がる
- 文法的に正しいだけではなく意味も理解される
ようになりました。つまり、ブラックハットSEOは検索エンジンからペナルティを受ける可能性が高く、SEO効果もありません。
ブラックハットSEOではなく、ホワイトハットSEOを行うべきです。ホワイトハットSEOとは、検索エンジンのルールやガイドラインに従って、良質なコンテンツを作成し、自然な被リンクを獲得することです。これは長期的に安定した順位付けにつながります。
ブラックハットSEOの歴史
ブラックハットSEOは検索エンジン黎明期から存在していますが、その歴史はGoogleのアップデートと密接に関係しています。
2000年代前半:Google登場とブラックハットSEOの横行
2000年にGoogleが日本語版を開始しました。当時のGoogleはページ内のキーワード出現率や被リンク数など単純な要素で順位付けしていました。
このころからブラックハットSEOが台頭します。キーワードスタッフィングや隠しテキストなどでページ内のキーワード密度を上げたり、リンクファームやペイドリンクなどで被リンク数を増やしたりする手法が流行りました。
しかしすぐにGoogleはこれらの手法に気づきました。2003年11月に「フロリダアップデート」と呼ばれる大規模なアルゴリズム変更を行いました。このアップデートではキーワード密度や被リンク数だけではなく、ページ内外の関連性や品質も評価するようになりました。これにより多くのブラックハットSEOサイトが順位を落としました。
2000年代後半:ブラックハットSEO vs Google
フロリダアップデート以降もGoogleはアルゴリズムを改善し続けました。2005年9月に「ジャガー」と呼ばれるアップデートではスパムコメントや不自然な相互リンクなどをペナルティ対象としました。」
一方でブラックハットSEOも進化しました。オールドドメインやコピーコンテンツだけではなく、「オールドコピーコンテンツ」と呼ばれる手法も登場しました。これは使われなくなった古いコピーコンテンツサイトからリダイレクトされた新しいコピーコンテンツとは、古いコピーコンテンツサイトからリダイレクトされた新しいサイトのことです。これは、古いコピーコンテンツサイトがペナルティを受けたり、ドメインが切れたりした場合に、新しいドメインで同じ内容を再利用する手法です。このようにして、検索エンジンの察知を逃れようとするブラックハットSEOが行われました。
2010年代:パンダアップデートとペンギンアップデート
2010年代に入ると、Googleはさらに検索エンジンの品質を高めるために、大規模なアルゴリズム変更を次々と行いました。その中でも特に有名なのが「パンダアップデート」と「ペンギンアップデート」です。 パンダアップデートは2011年2月に始まりました。これは、低品質なコンテンツやコピーコンテンツを持つサイトの評価を下げることを目的としたアルゴリズムです。パンダアップデートでは、コピーコンテンツだけでなく、以下のような要素も低品質の判断基準となりました。
- 文章量が少ない
- 文章が読みにくい
- 文章が意味不明
- 文章が事実に基づいていない
- 文章が広告やスパムに満ちている
パンダアップデートはその後も何度も改良され、現在ではリアルタイムで評価されるようになっています。 ペンギンアップデートは2012年4月に始まりました。これは、不自然な被リンクやスパムリンクを持つサイトの評価を下げることを目的としたアルゴリズムです。ペンギンアップデートでは、以下のような要素が不自然な被リンクやスパムリンクの判断基準となりました。
- リンク元のサイトが関連性がない
- リンク元のサイトが低品質
- リンク元のサイトがオールドドメインやコピーコンテンツサイト
- リンク元のサイトがリンクファームやペイドリンクサイト
- リンク先のキーワードが過剰に最適化されている
ペンギンアップデートもその後も何度も改良され、現在ではリアルタイムで評価されるようになっています。 これらのアップデートにより、ブラックハットSEOはますます効果が薄れてきました。
コピーコンテンツとは
コピーコンテンツとは、他のサイトや自分のサイト内で内容が同じか非常に似通っているコンテンツのことです。コピーコンテンツは検索エンジンからの評価が低くなり、検索順位や集客に影響を与える可能性があります。コピーコンテンツを避けるためには、以下のことに注意しましょう。
- オリジナルで価値のあるコンテンツを作成する
- コピーコンテンツチェックツールを利用して重複度を確認する
- 他のサイトから引用する場合は出典を明記する
- 自分のサイト内で重複するコンテンツがある場合は統合や削除する
まとめ
今回はいままでSEO業者が行ってきた「いかに検索エンジンのバグをつくか」というブラックハットSEOの手法と、歴史的にどのようないたちごっこが繰り返されてきたのかを書いてみました。 今でも、このようなSEO対策が有効だと主張しているSEO業者が世の中にはたくさんあります。 この記事が、SEO業者を選ぶ際の1つの参考になれば幸いです。